つちかぶりひめ



「さく姫様〜!聞いたよ!若葉様が長になられたんだって!?」


「おめでとうございます!!!」



いつものように抜け出すなり、村人たちから沢山の祝辞を貰う。
村人とはこの間会った以来だったが、どうやら既に結婚が破談になった話は出回っていたらしく、何も聞かれることはなく普段通りの世間話から始まった。


「皇子様がこの制度を提案したらしくてねえ!当初は揉めたらしいけど、制度的に素晴らしいものだって結局は採用されたらしいですよ!」

「そんな村人に優しい皇子様がいるなら、早く春宮の位に就いて次期帝になって欲しいねぇ」

「ばかっ!現帝がいるのにそんなこと言っちゃいけないよ!」



宮から1番近い村であるから、当然噂も他の村よりは沢山流れてくる。

そんな素晴らしい人が設けた制度なら、元々宮にいた父だもの、十分に手腕を発揮できるだろう。そう安心し、さくは鼻歌交じりに村を歩いていた。



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