つちかぶりひめ


十夜が去った後、少ししてから帰ってきた若葉がうとうとしていたさくの元へとやってきた。

「さく姫、心して聞いて欲しい」



若葉から伝えられたのは、彼自身が新しい制度の第一人者を任されたこと。それは、村人の生活保護について考えられた制度であり、その官署の長として職についてくれないかという話だった。


ある程度位を持っていて、かつ村人とも仲の良い若葉が宮中からの推薦として選ばれたらしい。


「これでさく姫の結婚相手も今までよりいい殿方を選んであげられそうだ。本当に良かった…!」


自分が宮から離れたせいで没落していったことでさくの結婚相手に良い人を望めないと思っていた若葉も、これで上手くいけばある程度の地位は回復し、若葉の姫としてさくの噂も広まりやすくなる。

父の喜ぶ姿を見て、さくも嬉しそうに笑った。




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