【完】はじめての…
中学受験❀

あれから。

同じマンションに住んでいるにも

関わらず…

翔とは会わない日々が続いた。


そんな帰り道…

春菜が地区の委員会があるのに


「待たせちゃうんだけど、

待っててほしいの!話したくて!」


と言われた。

園芸委員だったわたしは

待っている間に水やりとか草むしりを

することにした。


なんやかんや、花を見るのが好きで

苦じゃないから

あっという間に時間が過ごせる。



「ひな〜お待たせ!」

と春菜が教室の窓から顔を出して

言ってきた。

「大丈夫だよ〜!

わたしもじょうろとか、置いてくるから

昇降口のとこで待ち合わせよ!」

と言って片付けを始めた。


春菜よりも先に着いたみたいで

まだ誰も昇降口にはいなかった。


そこに、岸田くんと翔が出てきた。

確か、別の地区の代表だった…

よね、岸田くん。

翔が待っていたのかな?


なんて、思っていたら



ぱち。


あ。



顔を見合わせる3人。


なんだか気まずい…。


と、そこに


「あ!あの返事!待ってて!」

と翔が言ってきた。


え、今、言うの…!?


岸田くんもなんのことか

分からない顔をしたものの

「きっしー、そういえばさ!

新しいゲーム持ってきたんだぜ!」

と翔が言ったことで

わたしに注意がこれ以上向かずに

2人で話しながら帰って行った。




なんだったんだ、と思ったのも、

つかの間。



「ちょっと、ひな!

一体どういうこと…!」


え、

ばっ!と後ろを振り返ると

そこにいたのは

春菜だった。


もしかして、さっきの話を

春菜が聞いてたなんて…!


ここまで、きたら…と思って


そこでわたしは

帰る道を歩きながら、話をした。



わたしの好きな人は




翔なんだってことを。




初めて話したけど

春菜はずっと黙って聞いてくれて

「そっかそっか、

まぁ幼稚園から一緒なら

わかる気がするな〜」

と言ってくれた。


こうなるとは分かんなかったけど

なんやかんや照れるのを隠しながら

わたしは春菜のことを聞いた。


「や、まだ最近気づいたことだし…

春菜は?下田くんのこと

まだ好きなの?」


「いや、それがさ、

これを話したかったんだけど、

絵里ちゃんも潤のこと

好きなんだって。」



「…えええ!!

まさか好きな人がかぶるなんて、

そんなことあるんだ…」

なんて、おどおどしてると、


「そうなの、ほんと。

わたしもびっくりしてて…

お互い様子みてって感じかな…」


なんか、わたしの知らないところで

恋っていろんなのあるんだな…

と思っていると


「まぁ恋もそうだけど、

受験勉強もしないとね…!」

と春菜。


「でも、春菜は頭いいし大丈夫でしょ…」


「いやいや、都立だからさ、

難関だよ〜!

ひなは?私立なのは、変えないの…?」


「うん、前にも話したけど

お母さんがそこの中学を

卒業してて、気になっててね。」


と言ったが、春菜には本当のことを

言わずに、嘘をついている。


だって、クラスでばいきん扱いされてる

なんて、そんなこと親友であっても

なかなか言いずらかった。



「そっかそっか!

じゃあ、まぁお互い

恋に勉強にがんばろう!」


「…うん!」

そして2人はそれぞれの家に

帰ったのだった。

< 20 / 30 >

この作品をシェア

pagetop