【完】はじめての…
それから受験当日。

今回は行きたいところだけ

じゃなくて、滑り止めと志望校の

2つを2日間に分けて受けた。



幸い日曜と月曜だったので、

月曜だけ学校を休めばよかった。



月曜の夕方には合否が分かり、

両方とも受かっていた。


よ、よかった…。


安心して涙がこぼれた。


…でも。

寝る前に思ったのは、


もしかして避けられているのって



わたしの勘違いなのかな、



思い込みっていうのもあるし…。



その翌日、昨日学校を休んだから


ある意味3連休のような感じで


学校に行くのが久しぶりに感じた。


階段を上がって、

2組の教室へと向かう。



わたしの席は後ろだけど


階段からは前のドアの方が近いから


前から入る。



すると、



下田くんが後ろのドアから

入るのが見えた。



「うわっ!

おい、なんで白石のイスとかが

俺の机についてんだよ!」

と言った。





え、なに、どういうこと…。





しばらく様子を見ていると、


花梨ちゃんが下田くんのところに来て


「そんなに嫌なら離せばいいじゃん!」


と言った。


どうやら、わたしのイスとかが


掃除をするみたいに下田くんの机に


寄せられていたらしい。



「俺はそういうのも

触りたくないんだよ!」




ずき。




木田だけじゃなくて下田くんまで…


しょうがないなと言わないばかりに


花梨ちゃんは下田くんの席から


わたしの机とかを離して


元あった、わたしの席に戻した。



しかし、それだけでは終わらなかった。


わたしのイスが触れていた下田くんの

机の部分を拭うと

岸田くんの机になすりつけた。


「え!おい、潤!なにしてんだよ!」

と岸田くんがたまたま居合わせた。


そしてお互いがなすりつけあうまでに…



ただわたしのイスが


触れていただけで…?




こんなにもなっちゃうの…?



思わず泣きそうになるのをこらえた。


そこへ花梨ちゃんが来た。


「ひなちゃん、

あんなの気にしちゃダメだよ?」


にっこりと向けられた笑顔に

励まされて、

わたしは静かに席に座った。


運動会のときから、花梨ちゃんは

いつもわたしのことを

気にかけてくれた。


それが嬉しいと思っていると

木田が席に着いた。


まぁ、来るやいなや


「おいおい、お前、

もう来たのかよー!

もっと休んでろよーー!!」


相変わらずの罵声が飛んで来た。



それは無視したけど、それよりも


さっきのことのほうが



ショックが大きかった。


こんなのは何でもなかったが、


早く帰りたい…


その思いが強かった。

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