俺様社長に甘く奪われました

「あ、そうですよね」


 馴れ馴れしく呼んでしまったことを莉々子は恥じた。


「違うのよ? 莉々子さんにお母様と呼ばれたくないとかいう理由じゃないの。単純に名前で呼んでほしいってだけ」
「そうなんですね……」
「だから、百合でお願いね」


 百合はかわいらしく小首を傾げた。


「ったく、いい歳してなに言ってんだよ」


 奏多が呆れた調子で呟く。


「あら、いいじゃないの。莉々子さんともっと仲良くなりたいんだから。あ、そうだわ。せっかくだから作ってきた晩ご飯、三人で一緒に食べましょう」
「おい、母さんは部屋に戻れって」
「あら、私を邪魔者扱いするの? 心配しなくても、ご飯食べたらおとなしく退散するから。莉々子さん、いいわよね?」
「も、もちろんです!」


 そう言いながら、百合は持参した紙袋から中身を取り出した。なんとも大きな三段重。
 渋々箸と取り皿を取りにいった奏多は、不機嫌顔で腰を下ろした。

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