俺様社長に甘く奪われました

◇◇◇

「あんまり長居すると奏多に怒られちゃうから、そろそろ帰ろうかしら」


 空になったお重を前に、二杯目のコーヒーを飲み終えたところで百合が立ち上がった。


「本当にご馳走様でした。とてもおいしかったです」
「それはよかった。莉々子さんとたくさんお話しできて、私も嬉しかったわ。今度本当に四人でお食事しましょうね。それじゃ、奏多、またね」
「ああ」


 奏多がぶっきらぼうに返すと、百合が「ちょっと奏多、気をつけて帰れよ」とかいうひと言はないの?」と軽く睨む。


「気をつけてもなにも、すぐ真下だろ」


 そうなのだ。百合の部屋は、この部屋のすぐ下。奏多と同じマンション内に住んでいるのだ。どちらの部屋も東条から与えられたとのこと。

 百合と東条は社内恋愛だった。社長と秘書として出会い、恋に落ちた。ところが東条には決められた相手との結婚が待っていて、ふたりは別れることに。そのとき百合のお腹には奏多がいたが、そのことを内緒にして百合は姿をくらませてしまった。

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