俺様社長に甘く奪われました
奏多が横やりを入れるが、百合はまったく気にする様子はない。
「あら、本当のことなんですもの、いいじゃないの。莉々子さんにも知っておいてもらったほうがいいわ」
以前、社長室のダクトの掃除をしようとして間違えて電気を消してしまったことを莉々子は思い出した。そのときの奏多の慌てぶりは少し異常とも思えるものだった。スイートルームで目覚めた朝も、煌々と電気が点いたまま。それは暗闇が苦手なせいだったようだ。
「私のせいでそうさせてしまったんだけどね」
「別に母さんのせいじゃないだろ」
無愛想ながらも奏多が百合を庇う。きっとふたりきりで懸命に生きてきたのだろうと思うと、莉々子はなんだか無性に胸の奥が疼いた。
「とにかく早く帰れ」
「もう、わかったわよ。お邪魔虫は消えます。それじゃ莉々子さん、またね」
「は、はい。ご馳走様でした」
莉々子は頭を深く下げた。
「奏多にたっぷり甘えていいんですからね」
「いいから、ほら」