俺様社長に甘く奪われました
奏多に背中を押されるようにして、百合は朗らかな空気と共に部屋から去っていった。
「やっと帰ったな」
ふぅと大きく息を吐き出し、奏多が玄関から戻る。そして、ついさっき手元に戻ったばかりのカードキーを莉々子に突き出した。
「これは莉々子が使え」
「……え? いいんですか?」
莉々子は合鍵をもらえるとは思ってもいなかった。
「当たり前だ。それとも母さんのお古じゃ嫌か? それなら作り直すぞ」
「いえ! ありがとうございます!」
両手で受け取って手のひらで包み込む。
「素敵なお母様だったな」
ひとり言のように莉々子が呟くと、「そうか?」と奏多が返す。でもその顔はまんざらでもないといった感じだった。
「よし、風呂に入るぞ」