俺様社長に甘く奪われました

「どうしてって……」


 いくら運転席との間に壁があるとはいえ、同じ密室内。遠慮してしまう莉々子の気持ちもわかってほしい。


「あ、あの、お仕事は大丈夫なんですか?」


 奏多の興味をほかに逸らそうと莉々子が話を振る。すると奏多は不服そうにしながらも、「今日は急きょ切り上げた」と答えた。


「……急きょですか」


 それほど急ぎの用事がこれからあるのだろうか。
 不思議そうにする莉々子に、奏多がチラッと視線を投げかけ笑う。


「心配するな。不安になるような場所へ連れていくわけじゃない。たまにはデートもいいだろうと思ってね」


 奏多の声は楽しげに弾んでいた。


「デートですか」


 そう言われるとわけもなく嬉しくなる。莉々子が微笑むと、奏多はその頬にキスをした。

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