俺様社長に甘く奪われました
木村のフォローで松永は「はーい」とおとなしくなった。
お礼の意味を込めて莉々子が木村に頭を下げると、にっこりと愛嬌のある笑顔をくれた。
ロッカールームで支度をしていると、ちょうど真紀がやってきた。
「今日は落成式お疲れさまでした。疲れたでしょ」
「うん、まぁ」
「あ、ねぇ、一緒にご飯でも食べていかない?」
隣のロッカーを開けた真紀が、その扉の上から顔を覗かせる。
「……うーん、今夜はやめておく」
「どうしたの? なんかあった?」
すかさず突っ込まれて、莉々子はどう答えようかと考えあぐねる。しかし、真紀に隠し立てしても、いずれは態度でばれてしまうだろう。
「今日ね、祥真に会ったの」
「祥真って……、え、嘘。あの祥真さん?」
「うん……。アビーの社長になってた」
「それじゃ落成式で? うっそ、信じられない……」
真紀は目を見開いたまま固まってしまった。手を口に当て、瞬きも忘れる。