俺様社長に甘く奪われました

「変なことを言ったつもりはない。すべて本当のことだ」


 莉々子を一瞬だけ見た祥真は、小さなため息を吐いてからカップに口をつけた。冗談を言っているようには思えないが、それを認めたらいけないような気がしていた。

 いくら待っても、奏多はここへは来ない。でも、祥真の気持ちを受け止めることもできない。


「……こんなことをしても無駄だよ」
「無駄かどうかはやってみないとわからないよ」
「だって、奏多が来なくたって、私の心は祥真にないんだから」
「……はっきり言われると結構堪えるな」


 祥真は膝に肘を突き、自分で自分を嘲るように言った。
傷つけるようなことを言ってしまい、莉々子はすぐに「ごめんね」と謝った。

 刻一刻と過ぎていく時間。祥真が奏多へ電話を入れてから、もう間もなく三十分が経つ。コーヒーに手もつけず、来るはずのない人をひたすら待つ時間は、途方もなく長く感じた。

 莉々子は、奏多は絶対に来ないと言い切る自信があった。今頃きっとマンションで優雅なひとときを過ごしているだろう。

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