俺様社長に甘く奪われました
祥真が突然自分を押し倒したのも、来るはずのない奏多が突然現れたことも、莉々子には想定外のことだった。
ソファのそばに膝を突いた祥真がゆっくりと立ち上がる。
「ずいぶんと手荒な真似をしますね、望月社長」
手を払い、祥真が奏多を見据えた。
「いったいどういうつもりなんだ」
「それはこっちのセリフです。俺に啖呵を切っておいて、莉々子を手離すとはどういうつもりですか。あなたがあまりにも身勝手な人なので、莉々子を取り戻そうとしただけですよ」
「莉々子をあなたに渡すわけにはいかない」
奏多の声が祥真の言葉を打ち消す。
(どうしてそんなことを言うの……?)
ここに現れたことも放った言葉も、奏多の言動すべてが莉々子には理解できない。
「そんなことを言えた立場ですか? 確か望月社長は私にこう言いましたよね。『莉々子を手離したあなたが、今頃になって口を開くべきではない。一度口を閉ざしたのなら、そのままつぐむべきだ』と。そのままそっくりその言葉を返します」