俺様社長に甘く奪われました

 そういえば、志乃自身の恋愛話はあまり聞いたことがない。長く片想いをしている相手がいると聞いたことがあるが、まだその恋は成就していないのだろうか。


「そういう真紀ちゃんはどうなの? 彼氏は?」
「私は全然! 幸薄い顔だから、現実も幸に恵まれませーん」


 真紀がおどけて笑うと志乃は「そんなことはないでしょ。真紀ちゃん、品のある美人さんだもの。ね、莉々ちゃん」と莉々子に振った。


「真紀はいつもそうなんですよ。自分を卑下して」


 志乃の言うように真紀は十分綺麗なのだ。莉々子も人のことは言えないが、真紀も自分に自信がない。


「志乃さん、誰か素敵な人がいたら紹介してくださいよー」
「そうね、わかったわ」


 そんな話で盛り上がっていると、テーブルに置いていた莉々子のスマホが振動を伝える。タッチスクリーンに奏多の名前が表示された。

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