俺様社長に甘く奪われました
「莉々子の前の男がたまたまひどい男だっただけで、世の中のそういった人たちをひと括りにするのは横暴だ」
「……私ひとりの男性の好みが偏っても、もともと住む世界の違うお金持ちのイケメンは痛くもかゆくもないんじゃないかと」
我ながら的を射たことを言ったなと莉々子は思った。さすがの望月も、これでなにも言い返せないだろう。
ところが莉々子のそんな思惑は簡単に覆される。
「そういう屁理屈は好きじゃない」
ほかの意見に惑わされるほど望月の意思は弱くないのだ。
「……別にいいです」
望月に好かれるとは莉々子も思っていない。もともと生きる世界の違う人だ。
「その考えを矯正してやる」
望月が、莉々子をひときわ強い視線で見据える。
シャンパンをひと口飲み、莉々子は「……はい?」と聞き返した。矯正とはなにか。