俺様社長に甘く奪われました

「……俺と付き合えって」
「えー!?」


 ボソッと答えると、真紀は悲鳴に近い声を上げた。
 即座に「しーっ!」と自分の口に人差し指をあててみせ、莉々子がトーンダウンをお願いする。
 志乃は放心したように莉々子を見つめていた。


「松永くんに彼氏のふりをしてもらおうと思ったんだけど、社長に嘘がばれて大失敗」
「それじゃ、付き合うの!?」


 真紀がさらに身体を乗り出す。上半身がほぼテーブルに乗っているような状態だ。
 その質問に莉々子は首を横に振った。


「……断ったよ。住む世界が違い過ぎる」


 正確に言うならば、逃げたと言ったほうが正しい。
 望月は莉々子に気持ちがあるようなニュアンスを含ませていたが、それを鵜呑みにすることはできなかった。女性に不自由することのない望月が、三年も前のたった一度の関係を忘れられずにいるとはどうしても考えられない。


「付き合わないのね?」


 繰り返して聞く志乃に「はい」と莉々子はうなずいた。

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