俺様社長に甘く奪われました
不思議そうに莉々子を見上げた望月との間をふたり分ほど開けて、ちょこんと座る。
(ここへ連れてきて、いったいなにをするつもりなんだろう……)
のこのことついてきてしまったことを早くも後悔し始めていた。あの夜のことが嫌でも蘇り、顔が熱くなる。
「なにも襲ったりしないから、そこまで警戒しなくても大丈夫だ」
まるで莉々子の考えを見透かしたように望月が呆れる。ドキッとして見た彼は、怪しむように目を鋭くさせいていた。
「でもさっきは……」
いきなりキスをされたと言いそうになったところで、不意に望月の唇の感触が蘇り、莉々子の頬が紅潮する。
「そうだったな」
まるで忘れていたような口ぶりだ。望月は軽く笑い、優雅に足を組みながらコーヒーに口をつけた。それがまた絵になる。
今まで何人の女性が莉々子のようにこの部屋を訪れたのだろう。さきほどのように半ば強制的じゃなくとも、望月なら容易いだろう。彼に誘われて拒める女性がいるとは思えない。望月には、持ち合わせた静かな雰囲気の中にどことなく拒絶しがたいものがあると、莉々子は感じていた。