甘く、蕩ける。
「んっ・・・!」

高みで何もかも振り切って、向かい合うと再

び息づく間もなく愛を刻みつける。着信音

がさっきからしつこい。仕方なく出ると旦

那だった。

「どこいるの?こんな時間にいないなんて

珍しいな」

はぁ、めんどくさい。

愛なんてものがなくなると、こうも扱いが

どうでもよくなるなんて思いもしなかった

事だけど。想像以上に旦那の全てが鬱陶し

い。

「ごめんね。ちょっと友達と話し込んでた

から。そろそろ帰る」

「早く帰ってきてくれよ。俺は料理なんて作

れないからさ」

分かりやすい。結局この人は料理が作れな

いから電話を掛けてきた訳か。私に対して

の用事なんてそんなもの。

「旦那さん・・・ですか?」

彼の表情が一気に曇る。傷つけたい訳じゃ

ないのに、やっぱり不倫のデメリットとか

リスクってこういう所で顔を出す。

チュッ

「気にしないで。もうちょっと一緒にいよう

よ」
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