甘く、蕩ける。
「っ・・・はっ・・・」


だらしなく、公園の真ん中に立ち尽くし涙

を流す。悲しみと怒りがどんどん溢れてきて

どうにも涙と鼻水の洪水が止められない。


「・・・望月、さん・・・?」


ふと声がした方を向く。そこにはコンビニ

帰りであろう相良くんが立っていた。

「あっ、さ、ささっ、さ、さが・・・」

「慌て過ぎですよ。どうしたんですか?こ

んな時間に」

相良くんはその場にレジ袋を置き私の肩に

触れてくる。寒さに震えていると彼のたくま

しい腕が私をそっと抱き締めた。

「望月さん、どうしてこんなに濡れてるんで

すか?風邪引いちゃいますよ」

「・・・そんな事、言われても・・・」

私は、ただ情けなく泣く事しか出来ない。

外灯に照らされて、彼の表情がよく見えた。

鼻水を垂らして泣いているのに、彼は一つ

も笑っていない。

「ティッシュ、ありますよ」

彼はボディバッグからポケットティッシュを

取り出すと、わざわざ私の流した涙と鼻水

を丁寧に拭い取ってくれた。
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