クールな部長は溺甘旦那様!?
もしかして、わざわざ回りくどい言い方をして叩いたことまだ根に持ってるんじゃ? でも、あれはいきなり剣持部長がキスしてきたから……。

「あれは、正当防衛です」

「ふぅん」

剣持部長の挑発的な視線がイライラする。はずなのに、なぜか私の心臓はドキドキと波打っていた。

「まぁ、君の元彼氏のことについて俺が言うのもなんだが、そんな情けない理由をこじつけて二股するような甲斐性のないやつだった、ということだ」

仮にも元カレをそんな風に言われて、私は腹が立つどころか剣持部長の言葉がすとんと胸に落ちた気がした。もちろん剣持部長は慎一と会ったこともないし、どんな男だったのかも知らないはずなのに、そんなふうに話す彼が不思議に思えて、私は益々剣持優弥という人がわからなくなった。

そして、私が飲み終わったマティーニのグラスの中でひと粒のオリーブがコロンと小さく転がるのと同時に、剣持部長が口を開いた。
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