クールな部長は溺甘旦那様!?
何度も着替えを繰り返したせいか、試着室を出ると疲れがどっと身体にのしかかった。

「お待たせしました」

店のロビーに行くと、剣持部長の手には大きな店の紙袋。

「君が紺色のドレスの方を選ぶとはな、意外だった。ほら、これ」

ずいっと手渡された袋には、すでにお会計を済ませたドレスが入っていた。

「さっきはいきなりすまなかったな」

剣持部長はさきほどの試着室でのハプニングに戸惑う素振りも見せず、涼しげな目元でサラリと言う。

「い、いえ。大丈夫です」

それなのに私は先ほどの密着したシーンを思い出して、再び蘇りそうになる熱を押さえ込んだ。

「あの、これ本当にいいんですか? 高かったんじゃ……」

「別にこのくらいたいしたことない。妻にみすぼらしい格好されても困るのは俺だ」

うぅ、確かにそうだけれど、そんな言い方しなくたっていいじゃない。

そんなふうに言われてムッとするけれど、ドレスを買ってもらったことは素直に嬉しかった――。
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