クールな部長は溺甘旦那様!?
「もしかして、熱があるとか?」

「馬鹿! もう着替えますから出て行ってください!」

もう我慢ならない。私は両手を伸ばして剣持部長を試着室から押し出すと、今度こそ勢いよくカーテンを閉めた。

「まったく、乱暴な女だな」

そんな彼のぼやきがカーテン越しから聞こえる。ひとりになった私は、まだドキドキと高鳴っている鼓動をなだめた。

剣持部長の馬鹿……赤くなってなんかないし! 熱があるかだって? そんなわけないじゃない!

それを確かめるために私は鏡に向き直ってみる。けれど、私の顔はまるでゆでダコのように真っ赤に染まっていた。剣持部長に支えられていた腰周りが熱を覚えて妙な感覚が残っている。

剣持部長ってクールに見えて案外天然だったりするのかな……。とにかく着替えなきゃ、でそれにしても脱ぐのもったいないな……。

そうかと言ってずっとこのままの格好でいられるわけない。記念に鏡に映る自分のドレス姿をスマホのカメラに収めて、名残惜しい気持ちで自分の服に着替えた。
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