クールな部長は溺甘旦那様!?
「私の名前をずっと呼んでいてくれたのは、優弥さんだったんですね」

目が覚める前、私は結婚式の夢を見ていた。その時、懸命に私の名前を誰かが呼んでいたのを思い出した。その相手は彼だったのだ。

「影山に馬鹿みたいに嫉妬して、みっともない姿を見られても……誰にも渡したくない。君のすべてを独占したいんだ……俺は結婚なんて合理的なものでしか考えていなかった。けど、そういうふうに思う相手と繋がることが結婚するということだって、今更わかった……君に、そう気づかされたんだ」

私たちは、お互いに愛し合って結婚したわけじゃない。ハプニングだった。剣持部長は私を好きにならないと思っていたし、私も彼を好きになんてならないと思っていた。けれど、信じられないことに不毛な結婚にも小さな愛は芽生えたのだ。

私は剣持部長の抱擁に包まれながらいつまでもその幸せをかみしめた――。
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