クールな部長は溺甘旦那様!?
「こんな気持ちになれるんだから、俺にも人の心があったようだ……君が好きだ。俺は君がいないと息もできないらしい」

剣持部長が言葉を発するたび、ドクンドクンと心臓が跳ね上がっていくのがわかる。なにか言わないと、と考える間もなく剣持部長はまるで壊れ物を扱うように私の頬を包み込んで口づけた。

「ん……」

初めて剣持部長に告白された。信じられない気持ちでいっぱいだった。夢なら冷めないで欲しい。ずっとずっと眠ったままでいたい。

「私も、剣持部長のこと……好きです」

「こんな時くらい部長はやめろ」

唇が離れるとぬくもりがすっと抜けていく、今まで感じていた熱に嘘でも夢でもないと思わされて震えだしそうになってしまう。

「優弥……さん」

そういえば、初めて彼の名前を呼んで「好き」と言った気がする。そして、剣持部長も初めて私を好きだと言って名前を呼んでくれた。
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