軍人皇帝の幼妻育成~貴方色に染められて~
「アドルフ様は、私の裸を見てどう思いましたか?」
頭の中で湿った糸が絡まり合っているような悶々とした気持ちが嫌で、シーラは率直に尋ねることにした。
すると、さっきまでまったく冷静だったアドルフが、口に含みかけたオレンジジュースをあやうく噴き出しそうになった。
慌てて手で押さえジュースをゴクリと嚥下し、口元をナプキンで拭ってから、アドルフはシーラの方に向き直る。しかし、その眉間にはすでにしわが刻まれていた。
「…………昨日は確かに驚いたが、もうしなければいいことだ。そうすれば俺は怒ったり咎めたりはしない」
悩ましそうに答えてくれたが、シーラが聞きたかったのはそういうことではない。
「はい、もうしません。ですが、そうではなく、陛下は私の裸を見て何も思っていないのかが知りたいのです」
「……なぜ?」
「知りたいのです。私は昨日アドルフ様に裸を見られてから、とっても落ち着かない気持ちなのです。アドルフ様はどうですか? 私の裸を見てどんな気持ちになられたのですか? 聞かせてください」
初めて抱く羞恥心の理由が知りたくて、つい前のめりに問いかけてしまう。
真剣に尋ねたシーラに、アドルフはついにテーブルに肘をつき頭を抱えてしまった。大きなため息を吐きかけて、我慢して、けれども結局吐いてしまう。
「……馬鹿々々しい。そんなことを俺に聞くな」
ボソッと零された嘆きに、シーラはショックを受けた。初めての経験でこんなに悩んでいるというのに、アドルフはそれに応えるどころか馬鹿々々しいなどと言い捨てたのだ。
恥ずかしかったうえに呆れた物言いをされて、シーラは身の置き所がなくなってしまう。俯いて涙目になってしまったが、頭を抱えているアドルフは気づいていないようだ。
「そういうことは、いちいち尋ねるものじゃない。しかも食事の席で」
「……分かりました」
シーラは俯いたまま返事をすると、席を立ち部屋から出ていってしまった。アドルフが呼び止めていたが、もう食事を続ける気分になんてなれない。
少しでも距離が縮んだと思っていたせいだろうか。シーラはやるせない気持ちでいっぱいになりながら、とぼとぼとした足取りで自室へと戻っていった。