メーデー、メーデー、メーデー。
「…おかしいと思っていました。木南先生は片親だったはずなのに、結婚式にさえ呼ばなかった父親の介護だなんて。でも、別れた後の3年の間に連絡を取り合う仲になっていたのかなとも思ったんですけど…。木南先生、お義母さんにも病気の事を話していなかったんですね」
木南先生の後ろに立っていた早瀬先生も病室の中に入ってきた。
「…勝手に母に連絡するなんて」
木南先生が怒りを握りしめるかの様に拳を作り、それを震わせながら早瀬先生を睨んだ。
「木南先生が意識を失われていらっしゃったので、やむを得ずです。入院手続きをしなければいけませんので」
「入院は致しません」
早瀬先生の話など一切聞きたくない様子の木南先生は、間髪入れずに拒絶した。
「するのよ。もう手続きも済んでいるから。明日からすぐに治療を開始してもらうのよ。手術して綺麗に取り除いてもらいなさい」
更に木南先生のお母さんは、木南先生の意見に聞く耳を持っていなかった。