メーデー、メーデー、メーデー。
「ちょっと仮眠室に花瓶を探しに行ってきます」
結局、木南先生が持参した花瓶を使用せざるを得ない為、春日先生との会話をサクっと切り上げ、花瓶を漁りに仮眠室へ向かった。
春日先生に言われた通り、仮眠室の奥にある棚を開けると、アッサリ花瓶は見つかった。が、やはり貰った花を全部入れられるほどの大きさではなかった。
「…仕方ない」
花瓶と、同じ棚に入っていたバケツを手に取り、医局へ戻る。
無造作にテーブルに置きっぱなしだった花を、適当にバケツに突っ込み、給湯室へ。
花瓶とバケツに水を入れると、花瓶の方だけは自分なりに丁寧に花を生けた。
花を飾った花瓶とバケツを手に持つと、木南先生に届けべく、外科の病室を目指す。
大量の花と水が入った花瓶とバケツを運ぶのは、思いの外重労働だった。
でも、気落ちしている木南先生が少しでも喜んでくれるのなら。と、疲労を感じる二の腕を励ましながら花を運んだ。