メーデー、メーデー、メーデー。

 「…死んだ彼女のお墓参りの事、悪い事をしているわけではないのに、何でか後ろめたい気持ちになっていました。どんどん言うタイミングを失って、結局あんな形で木南先生に伝わってしまった事、本当に後悔しています。木南先生に『昔の彼女を引き摺っている』と誤解されたくない気持ちもありました。彼女は今でも私にとって大切な存在で、感謝している人物です。でも、木南先生は私にとって別格です。どうしても失いたくない人です。だから結婚したんです。彼女が死んでしまったから、あなたと結婚したんじゃない。あなたと結婚したくて堪らなかったから、したんです。…お願いです、木南先生。どうかどうか、死なないでください。お願いですから、生きていてください。お願いします」

 勢い良く頭を下げた早瀬先生の目から、涙が零れ落ちた。

 「……早瀬先生は、私の事が……好きですか?」

 核心を得たい木南先生が、遠慮がちに早瀬先生に尋ねる。

 「……」

 『好きです』と答えれば良いだけなのに、黙ってしまう早瀬先生。

 『オイ!! 馬鹿か!!』と思わず拳でドアを殴りそうになり、『もう!!』と、ドアの代わりに自分の太股を叩いた。
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