メーデー、メーデー、メーデー。
「そんな事、絶対にありえないでしょう。木南先生、私が通っていた高校のレベル、知っているでしょう? 医学部進学者は毎年一桁の中堅校です。でも、木南先生は中学から超進学校に通っていたエリートじゃないですか。そんな私たちが、いつどこでどんなタイミングで出会うというのですか。万が一、出会っていたとしても、絶対に関わる事などなかったはずですよ」
早瀬先生が変にムキになって答えるから、木南先生が半笑いになってしまっている。が、話す事に一生懸命な早瀬先生は、木南先生の様子に気付かない。
「私は、中堅高校から死に物狂いで勉強して、やっと医学部に入った人間ですから、卒業して医者になっても周りに遅れを取ってしまう落ちこぼれでした。くじけそうになる私を、木南先生はいつも励ましてくれた。相談に乗ってくれた。不器用な私のオペの練習にも付き合ってくれた。木南先生がいなかったら、私は医者になる事を諦めていたかもしれません。
木南先生のような医者になりたいと思いました。木南先生に追いつきたくて、必死に努力をしてきました。…まだまだ木南先生の足元にも及びませんが。
木南先生に憧れて、付き合う様になって、結婚をして。木南先生に恥をかかせたくない。木南先生が自慢出来る様な男になりたいと、私なりに頑張ったつもりです。
高校時代の彼女には、感謝しかありません。高校時代、彼女がいてくれたおかげで、本当に幸せだった。彼女がいたから、あなたに出会う事が出来た。蓮という子宝にも恵まれた。あなたはそれを『不自然』と言うけれど、私にとっては『奇跡』です」
真っ赤な顔で涙目になりながら切々と語る早瀬先生の姿に、木南先生が真顔になった。