メーデー、メーデー、メーデー。
「オイ、研修医。仕事抜けて私の悪口言いに来たんじゃないでしょ?」
オレの態度に木南先生が右眉をピクつかせた。
そうだった。オレは昨日から、宿題の提出がしたかったんだ。
「木南先生が死んではいけない理由ですが…」
「理由ですが?」
木南先生がオレの回答を待つ。
「オレはまだ、木南先生の冥福を祈る気がサラッサラないからです」
「……は?」
オレの答えに、木南先生は眉毛どころではなく、頬をプルプルと引き攣らせた。
「カッコつけすぎなんですよ、木南先生は。死ぬほど苦しいなら、形振り構わず誰彼構わず『助けてくれ』って叫べばいいんですよ。
木南先生の家族だって、早瀬先生だって、オレだって、木南先生に生きていて欲しいんだから、木南先生が助かる方法をどうにかして探し出しますよ。
木南先生の苦しい思いが無くなれば、死にたくなくなれば、生きていてくれれば、誰も悲しまない。
『Two heads are better than one』ですよ、木南先生。木南先生は頭の良い人ですが、自分ひとりで答えが出せなかったからと言って、『答えが無い』と決め付けないでください。誰かが答えを知っているかもしれないじゃないですか」
それでも構わず、オレなりの宿題の答えを木南先生にぶつけた。