メーデー、メーデー、メーデー。
「イヤ、被ってくださいって。帽子は飾るものではなく、被るものです」
『折角買ってきたんですから』と、再度木南先生に帽子を被る様に催促してみる。
「…研修医さぁ。ちょっとは私の歳を考慮して選んでくれないかなぁ? 可愛すぎるでしょうよ、この帽子。被るのに勇気を強いられる帽子を買って来てどうするのよ」
木南先生が、『これからオペなのに、こんなところで勇気を振り絞っている場合じゃないのよ』と、オレが買ってきた帽子を床の間ではなく、枕元の棚に置いた。
「金を使ったら使ったで文句言うし…。面倒な女だな」
プレゼントが全く喜んでもらえなかった事に文句を垂れながら、木南先生が彼女じゃなくて本当に良かったと思った。この人が恋愛対象になる事は、やはり絶対にない。