メーデー、メーデー、メーデー。
そしてオレは、只今春日先生と絶賛夜勤中。
しかし、春日先生は先ほど急変した患者さんの緊急オペに入ってしまい、医局に1人で取り残されている状況だ。今、誰かの容体が悪くなってしまったら、オレが処置しなければいけない為、春日先生が戻ってくるまでは何事も起こらない事を祈るばかりだ。まだ、自分だけの力で患者さんを助けられるほどの技量がない事が、恥ずかしくて悔しい。
だから、こんな穏やかな夜勤の時間は、医療ジャーナルなどに目を通し、知識を蓄える時間にしている。
今日も医局のデスクで夢中で読み耽っていると、
「勉強熱心で何より。でもこの本を読むのは、もう少しオペを経験してからの方が良いんじゃない? あんまりピンとこないでしょ。ていうか、研修医が脳外を選ぶとはねー」
背後から声がして振り向くと、木南先生がオレの手に持たれた本を覗き込んでいた。
「…関係者以外立ち入り禁止ですよ。ちゃんと寝てなきゃだめでしょうが」
最近の木南先生は精神状態も安定し、グローブでの拘束がなくなった為、自由に動ける様になった上、食欲も回復し、必要以上に食べまくっているらしく、摂取したカロリーと有り余る体力を『徘徊』という形で発散している。