メーデー、メーデー、メーデー。

 「そんな風に他人を蔑む様な人間になんて、どう思われても良いじゃないですか。藤岡さんの生活は、今までとは違ってきます。出来ていた事が難しくなったりしますから、辛い思いをする事もあるでしょう。それで心を痛めたとしても、さもしい人たちの心無い言葉や視線なんかで傷つかないでください。そんな心の傷には意味がありません。なぜなら、藤岡さんは悪くないから。相手に100%の非があるからです。
 私たちは、私たちのエゴで藤岡さんの命を救いました。ですから、最大限の治療とサポートをします。
 もう一度言っておきます。藤岡さんの命の価値は下がりません」

 それでも早瀬先生は持論を話し続ける。

 「…命の価値とか、そんなのどうでもいい。元の身体に戻りたい。
 ただ、歩いていただけなのに。何も悪い事なんてしていないのに。どうしてこんな目に遭わなければいけないの?」

 藤岡さんも涙を流し続けた。
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