ただいま冷徹上司を調・教・中!
あれだけ平嶋課長を腹を立てて避けて今日まで来てしまった自分が恥ずかしい。

裏切り者の和宏の気持ちなんて、考えてやる必要はないと思っていた。

私は何一つ悪くない。

悪いのは全部和宏なのだから、私からの罵倒も拒絶も全て受け入れて当然だ。

いつの間にか被害者ならば何を言っても許されると勘違いしていたらしい。

私に心があるように、和宏にだって心はあるというのに。

そう、なんだかんだ言っても、付き合っていた頃の和宏は本当に優しかった。

思うところはたくさんあったけれど、和宏の優しさと笑顔は本当に大好きだったんだ。

そんな彼が梨央の誘いに乗ってしまった原因は、もしかしたら私にもあったのかもしれない。

それでも絶対に許さることではないけれど。

「私……とっても嫌な女になってました。……ごめんなさい」

和宏のことも、平嶋課長への勝手な苛立ちも。

全部全部消してしまいたくなるほど恥ずかしい。

「平嶋課長が彼に諦めなくていいって言ったとき、面倒くさいから、このまま元サヤを望んだのかなって思って」

「久瀬にそれは無理だ。一度裏切られたらもう二度と気持ちは戻らないだろう?久瀬は絶対に吉澤の所には戻らない。そう確信していたから諦めなくていいって言ったんだ」

当然のようにそう言われ、私は軽く混乱した。

「確信してたんですか?」

もしかして、私の気持ちに気付いている?

一瞬焦ったけれど、「仕事で培った信頼関係だ」と自信気に言われ、それはないなと安心した。

「仕事では信頼関係があっても、プライベートではまだまだなんだから、確信されてても伝わりません」

軽くむくれてそう言うと、平嶋課長は目を丸くして私を見つめた。
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