ただいま冷徹上司を調・教・中!
そりゃね。

わかりますよ。

そんな顔になっちゃいますよね。

人の惚気話を聞くと、そんな顔したくなっちゃうものだ。

一応、人を見て笑顔で話を合わせて見たり、羨ましがってみたりして見せるけれど。

内心、誰でもこんな表情になっているものだろう。

人の惚気話ほど、聞くに堪えない話はないというのは十分にわかっている。

それでもついつい話してしまうのは、この二人が素直にこんな表情をしてくれながらでも、話を聞いてくれるからだろう。

私と平嶋課長との関係が本当に普通のものであるならば、私は二人の迷惑もそっちのけでもっといろいろと話していたかもしれない。

それを思うと、これくらいでよかったのかもと思う。

それからの一週間は仕事も平嶋課長の補佐として順調にこなし、プライベートでも二日に一度は電話で凱莉さんと話ができ、順調そのものだった。

まるで私達は本物のカップルであるかのように。

「今週は待ち合わせにしましょう」

私がそう提案すると、凱莉さんは少し悩んでいるようだった。

『車の方が何かと便利じゃないか?』

電話越しにでも凱莉さんの表情が想像できて、私は何だか嬉しくなった。

凱莉さんのこの表情を思い浮かべられるのは、きっと私だけだと自負しているからだ。

「たまには電車で遠出しましょうよ。いい場所探しときますから」

凱莉さんの車は大好きだけれど、待ち合わせでウキウキしたり、電車の中で手を繋いだり、なんだか初々しいことがしてみたいんだ。

私がそう伝えると、凱莉さんはクスっと笑ってくれた。

『じゃあ、いっそのこと〇〇駅で待ち合わせるか』

「はいっ」

何処にでも行けるようにとその駅を指定してくれた凱莉さんに大きな声で返事をして、私は早く土曜日が来るのを祈る毎日だった。
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