ただいま冷徹上司を調・教・中!
どーん!

効果音を付けるとしたら、こんな感じだろうか。

気持ちよくあっさりと自分の言葉を翻した凱莉さんは、ある意味男らしいと言えるんじゃないだろうか。

「な……。平嶋課長ともあろう人が、一度言ったことを取り消すんですかっ?」

「しかたがないだろう?不愉快なんだから」

「男らしくないですっ」

お前が言うなっ。

女から何度も拒絶されても食い下がるなんて、自分の方が男らしくなくてみっともない。

「仕事じゃあるまいし、別にいいだろ」

「信用問題です」

なんなんだ?

私の信用を簡単に壊しておいてよく言うよ。

「別に吉澤に信頼してほしいわけじゃないからな。この場合は千尋と俺の問題で、ハッキリ言ってお前には微塵も関係ない。もう今後一切かかわるな」

私があの会議室で聞きたかった言葉を、今は当然のように言ってくれる。

そこにどれだけ凱莉さんの本心が込められているのかはわからないけれど。

私の胸は嬉しさと感動で締め付けられ、思わず凱莉さんの背中にしがみついた。

「俺は千尋と……」

「それもだ」

和宏の言葉を遮り、凱莉さんは背中に手を回して私の背中をポンポンと落ち着かせてくれた。

「俺以外の男が千尋を名前で呼ぶのは面白くない。今後は名字で呼んでくれ。というかもう呼ぶな」

なんとも驚くような可愛らしいことを言ってくれるのだろう。

もう眩暈がするほどに参ってしまった。
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