ただいま冷徹上司を調・教・中!
本当に?

本当に私、凱莉さんの恋人になれるの?

ほんとにほんと?

「え……待ってください。これ……ほんと……?」

終わってしまうと覚悟した関係が、こんな形に変化してもいいの?

夢じゃ……ないよね?

「いつから千尋に惹かれてたか、なんて具体的にはわからない。かっこいい告白をするスキルも持ってない」

私はゆるゆると首を振った。

凱莉さんのことだ。

どうせ山ほどある漫画のヒーローと自分を比べてるんだろうけど。

そんなこと、どうだっていいの。

たどたどしくて不器用で。

それでもちゃんと真っ直ぐ伝えてくれる凱莉さんの言葉が嬉しいんだから。

「いつも俺と同じ目線で対等で。二人一緒に楽しめる千尋と、ずっと一緒にいたいと思ったんだ。俺の横に千尋がいないということが、全く想像できなくなってしまった」

「私もです……」

どんなに格好いいセリフより、私の心は一番満たされた。

だって凱莉さんは、私と同じことを思ってくれていたということだから。

「千尋、俺と一緒にいてくれる?」

甘い甘い声色で、凱莉さんは私の耳元でそう聞いた。

「はい……。私とずっと一緒にいてください」

「……もちろん。ありがとう、千尋」

自分の意地のために、凱莉さんの秘密と女に平手打ちで振られたという恥を利用して、恋人ごっこという契約を取りつけ。

嘘の関係と本当の気持ちに苦しんで。

そして、ごっこが本物になった。

ずっとずっと、一緒にいられるんだ。
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