ただいま冷徹上司を調・教・中!
「『気持ち悪い。吐く』って」

「え」

「急いでトイレに運んだんだけど、蓋開けてる間に……」

音を立てて全身の血の気が引いていくのがわかる。

きっと私の身体は冷たくなっていることだろう。

「久瀬の服と俺のジャケットが被害にあった。抵抗はあったんだけど、お前の服脱がせて俺のジャケットと一緒にバスルームで洗ったんだ。でもどうしても臭いが取れなくて、シャンプーに付け込んで臭い取って乾燥させて、今に至るというわけだ。……どうした久瀬?」

完全にベッドに倒れ込んでしまった私に掛けてくれた声に、指一本も反応することはできない。

平嶋課長から語られた真実はあまりにも残酷だ。

強引に服を脱いで迫ってた方が、どれだけ可愛らしかっただろう。

語りたくないと言われたのだから、聞かなきゃよかったのに。

私のバカヤロウ。

「さすがに風呂には入れてやることはできなかったからな。動けるならシャワーでも浴びてこい」

「あまりにもショックで動けません……」

「風呂行け」

「はい……」

まるで井戸から出てくるホラー映画さながらにベッドから這い出ると、私はフラフラになりながらバスルームに向かった。

熱めのシャワーを頭から浴びると、平嶋課長から聞いた点と点が繋がってその場にしゃがみ込んだ。

これは本当に恥ずかしすぎるだろう。

女として、人として、最も醜い姿を平嶋課長に見せてしまった。

もう無理だ……。
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