ただいま冷徹上司を調・教・中!
平嶋課長と一緒に向かったのは、駅前ビルの一階にあるカフェレストランだった。

白と木を基調としたお洒落なお店で、食事をしていてもコーヒーを飲んでいても、本当に嫌味なくらい絵になる男前っぷりだった。

昼下がりに会社のイケメン上司と秘密のランチ。

なんだかグッと距離が縮まったような気が……しない。

食事中の平嶋課長は無言で、会話をしながら食事を楽しむという感じじゃなかった。

勇気を出して話しかけてみると普通に返答はしてくれるので、どうやら怒っているわけではないらしい。

黙々と食事をし、私が食べ終わるのを待つ間はずっとスマホで経済ニュースを読んでいる。

確かに誰もが見ほれるほどのイケメンかもしれないが、私はやっぱり平嶋課長は無理だな、と心の中で頷いた。

話しかければ会話をしてくれるけれど、平嶋課長から会話を振ってくることはない。

それって私にも、私と一緒にいる時間にも興味がないということ。

いくら梨央に対する見栄があるにせよ、これはきっと『ありえない』と神様が教えてくれているのだろう。

やはり平嶋課長は近づくよりも鑑賞しているに限る男性だ。

自分の答えにスッキリした私は、ランチまでも平嶋課長にご馳走になり、何度もお礼を言って平嶋課長と別れてタクシーに乗り自宅に帰った。

その日は何もする気が起きずダラダラと過ごし、翌日の日曜日は心機一転しようと和宏の面影を全て消し去った。

全ては月曜日から気持ちを切り替えて、仕事も恋愛も前向きに頑張ろうと思っていたからだ。

この時までの私は、朝日なんて怖くもなんともなかった。
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