ただいま冷徹上司を調・教・中!
人通りの多い給湯室前だというのに、彼女たちの行動力は尊敬する。

不愉快そうに眉を寄せて五人を見下ろす平嶋課長の視線に、彼女たちだけではなく私も鼓動が早くなり緊張してきた。

このストレートな質問に平嶋課長はどう答えるのだろうか。

「質問の意図はわかるが、それは君たちに何か関係のあることなのか?」

低いセクシーな声色にドキリとするのは、きっと私だけではないだろう。

なんたって平嶋課長の顔と声は最高A5ランクなのだから。

「関係はないですけど……。でも平嶋課長はみんなの憧れですし、きっとみんな気になって仕方がないはずです」

怯むどころか食らいつく女子社員に、私は無意識にエールを送っていた。

頑張って食らいつき、真相を聞き出すんだ!と。

「噂は俺と久瀬が飲み会後にホテルに入って、翌日にランチデートをしていた、ということだったな」

「はい……」

言い出しにくい噂をサラリと言ってのけた平嶋課長に、女子社員たちは何かの希望を見出したかのように表情を緩めた。

表情からは微塵も動揺は感じ取れないものだから、きっとこの噂は誤解で全ては早期終了する、と。

しかし、平嶋課長は私達の予想を大きく裏切る答えを返してしまった。

「誤解のないようにハッキリ言っておくが、あれはただのランチでデートというわけではない」

「……は?」

困惑した五人は顔を見合わせ、平嶋課長にその先の説明を求めるかのような視線を送る。

もちろん私も目を丸くしている紗月さんと瑠衣ちゃんと視線を交わし、隠れている壁を掴む手に力を込めて先を聞き逃さぬように耳を傾けた。
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