ただいま冷徹上司を調・教・中!
平嶋課長は総合課統括部長と打ち合わせをしていたらしく、朝礼開始ギリギリに戻ってきた。

全体朝礼が終了し、課ごとの朝礼が終わっても、課長は何も口を開かない。

みんなの興味が私達に集まっていることに気付かない平嶋課長ではないだろうに。

「久瀬」

「はいっ」

ぼんやりと見ていた平嶋課長が唐突に私を見て呼ぶものだから、きゅっと身体を縮ませ勢いよく返事をした。

その声につられてか、一斉に自分たちに視線が集まったのがわかる。

噂の二人がどんな会話をするのか、誰もが興味深々なのだ。

……こんなところでプライベートな話なんて、平嶋課長がするはずがないのに。

「朝一番で光安総合病院から輸液セットの注文が入った。物流には入荷次第即納品する段取りを取ったが、念のためメーカーに出荷日の確認をしといてくれ」

「わかりました」

話が終わり私が確認の電話の為に受話器を取ると、途端に漏れ出す溜め息の数々。

平嶋課長がどんな風にして誤解を解くのか興味はあるけれど、それは今じゃないだろうと思う。

そんなこんなで皆の視線を感じながらも午前中の業務は滞りなく終了した。

お昼になり席を立った平嶋課長が気になって、紗月さんと瑠衣ちゃんを引き連れてこっそり後を付けようと席を立つ。

すると私達の前に五人の女子社員が平嶋課長に声を掛けているところだった。

「あの……平嶋課長に噂の真相をお聞きしたくて……」

おどおどしているが五人という人数は若干気持ちを大きくさせるのだろう。

彼女たちは平嶋課長との距離を縮めてそう聞いた。
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