ただいま冷徹上司を調・教・中!
当然のことながら、お昼休み中にこの件は全社員に広まるところとなった。

昼休みに給湯室前という場所であんな話をすれば、そうなることも納得だが。

平嶋課長は昼から営業に出てしまったので、社員の視線を独り占めしているのは当然私だ。

確かに梨央や和宏を見返すために、平嶋課長を巻き込むことを企てたわけだけれど。

こうなったらなったで頭を抱えてしまう。

冷静になって思い起こしてみれば、私は平嶋課長が苦手だったのだ。

芸術的な容姿も、仕事に対する姿勢も、冷たいけれど面倒見がよくて人望が厚いところも、全てが完璧すぎて逆に胡散臭い。

こんな人を好きになってしまったら、一瞬にして不安が勝り怖くなって重い女になりすぐに裏切られるに決まっている。

あくまでも私の勝手な想像だけれど。

なのにこんな噂が広がってしまって、私はなにをどうしたらいいのかわからなくなってしまった。

なのにそんな私に追い打ちをかけるかのように、就業時間後に梨央から内線で呼び出されてしまった……。

もう本当に私に関わらないでいただきたいんだが。

頭を抱えた私に小さくエールを送り、紗月さんは帰ってしまった。

瑠衣ちゃんも心配してくれているけれど、こればっかりはどうする事もできない。

梨央の件は自分自身で決着を付けるしかないんだ。

間違いなく梨央の要件は和宏のことではなく、平嶋課長のことだろうから。
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