戦国恋武
「殿の欲しいもの、でございますか…。そうですなぁ〜。はて…、領地拡大ですかな?」
はぁ〜
溜息を尽く女の人。
切腹イベント終了で冷ややかだった室温も徐々に温かさが増して来ていたが、ここでまた-1度くらい下がってしまったようだ。
「勝家は何だと思う?」
実は柴田勝家さん、さっき丹羽長秀さんに女の人が質問した辺りから、目をキラキラさせて女の人を見ていた。小学生が授業中に答えが分かって、自信満々に手を挙げている時の顔で。さすがに手は挙げてはいないが。
「それは勿論!跡継ぎにございます!信長様は信秀様より家督を継ぎ、尾張を治める大名となられた。織田家繁栄の為、濃姫様にも立派な跡継ぎを産んで頂かなければ!」
ピキッ…
女の人のこめかみに青筋が見えるのは、私だけなのでしょうか?今ので、更に-5度くらい下がった気がする。切腹イベントの時より寒気を感じる。
今思い出したが、この人達が部屋に入る前も、濃姫様と叫んでいた。この女の人は、濃姫って名前なんだ。
「な、成程!さすが柴田殿!これは、き、気が利かず、も、申し訳ございません。わっ、我等は、こ、こここれにて退散致しまする。ごゆるりとお過ごしくださいませ。いくぞ、蘭丸。」
空気が読めない森可成さんに続き、顔を真っ赤に染めて恥ずかしそうに蘭丸くんも退室していく。それに柴田勝家さん、丹羽長秀さんと続く。
待って!温度を下げるだけ下げておいて、こんな凍えそうな部屋に濃姫さんと2人きりにしないで。
もう1人名前のわからない人も退室しようとした所で…
「恒興は残れ。」
「はっ!」
濃姫さんに引き止められ、恒興さんは部屋に残った。