浅葱色が愛した嘘
なぁ、お前は総司のために泣いているのか?
土方はそんな桔梗の姿を見て、
心の中で問いかけた。
何人もの女を抱いて、何人の女を泣かして、何人もの女を捨ててきた、この俺が____。
誰かを愛する気持ちなんて、
今までずっと知らずにいた、この俺が____。
突然、刀を返せと乗り込んできた奴に惚れてる。
態度はでけぇし、礼儀もねぇ、
普段は女らしさも色気ねぇ、こんな奴に
俺は何で惹かれたんだ?
『総司とまたなんかあったのか?』
壊れてしまいそうな肩にそっと触れてみた。
かすかに伝わる震動。
桔梗はうつむいたまま顔を上げない。
『はぁ…
ほら、澄朔?
顔をあげろ。』
また(嫌だ!)とか反抗するんだろうか。
そう思っていた土方だったが
桔梗は土方に言われた通り、あっさりと顔を上げた。
吐息がかかる程の距離に桔梗の顔がある。
土方は思わず息をのんだ。
間近で見る桔梗の瞳は美しく、吸い込まれてしまいそう。
『私はどうして、人を…沖田さんを想ってしまったんだろうな。』
桔梗は自分をあざ笑うかのように苦笑いを浮かべた。
『本当に情けない。
私が何よりも大バカ者だ。』
桔梗は自分自身を憎らしく思った。