浅葱色が愛した嘘
次の日の翌朝。
沖田は自然に目を覚ました。
自分の隣には我が子と、それを大切そうに抱えて眠る愛おしい桔梗の姿。
『本当に…夢じゃないんだな。』
沖田は思わず笑みをこぼす。
サラサラとした桔梗の髪を撫で、
触れられる喜びを噛み締めた。
『んっ……
総司……?』
『あっ、ごめん。
起こしちゃった?』
触れていたその手をパッとどかし、桔梗の顔を覗き込む。
(平気。)
桔梗はそう言ってニコッと笑った。
『おはよう。』
桔梗は眠たそうに片目をこすりながら、体をゆっくりと起こす。
『不思議だな。
総司が…隣にいるなんて。
まだ夢を見てるみたい……』
桔梗は確かめるように沖田の手を握った。
『土方さんには、感謝しきれない……』
桔梗は不意に土方の名前を出した。
『なんで土方さん?』
『あぁ、そうか…
土方さん、本当に総司に何も言わなかったんだな。』
桔梗は土方との全てを話した。