浅葱色が愛した嘘
円になって座り、その中心に桔梗は座っていた。
『ほぉ、これがトシが言っていた新しい隊士か。
また綺麗な人を連れてきたもんだ。
トシからは色々聞いてる。
女の子なんだろ?
まぁ新撰組は女禁制だが、君は武士として生きているらしいではないか。
それなら俺は文句ない。
どうかその誠の志、近藤勇に見せてくれ。』
陽気に笑い、まるで太陽のような笑顔を見せる彼こそ、この新撰組の魂と言われる男、近藤勇だ。
『全く。土方さんは相変わらず何を考えているか分かりません。
しかし、実力が確かなのは間違いないそうですね。
これから新撰組のためにお願いします。』
柔らかい笑みを浮かべ、上の人間にも関わらず低姿勢の彼は
新撰組の総長、山南敬介。
『さっきの君と沖田くんの試合には驚かされたよ。
まさか、女の子だとは思わなかったけどね。
今度は俺とも手合わせをお願いしようかな。』
人懐っこい表情、少し小柄な青年の名前は、永倉新八。
先ほど、沖田と共に稽古場にいた人物だ。
『たっく、こんな野郎ばっかの所に女中ではなく、隊士として入るなんて中々の度胸あるんだ。
でもまぁ、土方さんが認めた女っていうのは興味あるなぁ。
よろしくね。』
イタズラに笑い、
無邪気な彼は藤堂平助。
『何かあったら俺に言え!
いくら強いからって君は女なんだからな!
俺たちと一緒に平和な世の中作ろーぜ!』
天真爛漫。
他の幹部とは違う雰囲気の持ち主の彼は原田左之助。
これらの人物と共にこれからは生活して行く事になる。
しかし桔梗は戦場以外、こんなに人に囲まれるのは初めてだった。
『私の名は澄朔。
共に戦うためにここに来た。』
美しく、可憐で、凛々しいその姿にこの場にいた男が魅入ってしまった事は言うまでもない。