誓約の成約要件は機密事項です
「おおむね週一回は接待、あるいは友人らと会う。一人でいる時間を大切にしているが、パートナーができれば、そちらを優先する。健康状態は良好。健康診断で問題があったことはないし、大きな病気や怪我をしたこともない。一昨年からは一年に一度、人間ドックに通っている」

口を挟む暇もなかった千帆を見つめるようにして、涼磨は初めて少し黙った。

「……他に質問は?」

「いえ。私には、まったくもって、もったいないお人で」

こんな人が結婚相談所に来たら、ただで入会させてもらえるのではないだろうか。千帆がスタッフなら、絶対そうする。

「ならば、君の条件は満たせたということか」

「いえ……ですから、私なんてとてもとても……」

とても相手にできない。完全なるオーバースペックだ。

愛想笑いを全面に掲げて降参する千帆に、涼磨は平然と言い放った。

「僕にするといい」





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