誓約の成約要件は機密事項です

継続案件に昇格

困ったことになった。

涼磨と食事した翌朝、ジクジクとうっとうしい頭痛は精神的なものだろう。いっそ休みにしてしまいたいところだが、こんな理由で休むわけにもいかない。

「千帆ちゃん、おはよう。昨日、副社長とどうだった?」

「那央さん……っ!」

よろよろと出勤した千帆に、那央が待ち構えたように声をかけてくれた。

――聞いて聞いて聞いてください……っ!

思わず泣きつきそうになるが、寸でのところで思い留まる。

なんて言えば良いのだろう。副社長に自分を押し売りされたって?

とてもじゃないが、社内で口にできるような内容ではない。那央が漏らすとは思わないが、どこで誰が聞いているか知れない。

「どうしたの、そんなに目をうるうるさせて。 いい人紹介してもらえた?」

「はい……いえ、いいえ……っ!」

「え、違ったの? 何だったの?」

「……しいていえば、情報交換でしょうか」

「副社長も婚活してるの?」

「……さあ」

そういえば、根本的な疑問だが、涼磨も結婚したいのだろうか。

31歳だし、親族経営を続けたいのなら、跡取りも気になるだろう。婚活していても、おかしくない。

でも、わざわざ千帆を選ぶ必要はない。涼磨ならより取り見取りのはずだ。
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