シンデレラのドレスに祈りを、願いを。


悠季くんが予約していたのは、高層階のダブルルーム。
冬のはじまりを告げるように夜景はやけに煌めいていた。

夜景が目に焼き付いているのは、ずっと照明もつけないまま、過ごしていたから。もっと言うと、明かりをつける余裕すらなくて。

甘くて、甘すぎて切なくて。
時折与えられる痛みもすべてが愛おしくて。

こんな痣のつけかた、どこで覚えたの?、なんてやきもちすらも愛おしい。

年甲斐もなく、日付がかわるまで求め合って。
うつらうつらと眠っても何かの拍子で目が覚めると、再びじゃれあって。

夜が白々と明けてくるころ、悠季くんは何かを思い出したようにベッドから降りた。広い背中はところどころ赤く腫れていて。夢中になって私が爪を立ててしまった痕。

悠季くんはソファに投げ出されたままの上着をガサガサと漁る。
ベッドにもどる悠季くんの手もとでなにかが光った。

だるくて、起きあがれない私の左手をすくい、それをはめた。
薄い光の中で、キラキラと虹色に輝く石。

エンゲージリング?
飛び起きようとした私を悠季くんは押さえつけた。
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