バッドテイストーヴァンパイアの誤算ー
(家で彼が待ってる…)
彼はこの髪をどうするだろうか、何時もみたいに首筋に顔を埋めながら指先に絡ませて遊ぶだろうか
それとも頭を包むように手を差し入れ大きく手櫛をするだろうか
どちらにせよ、そのとても優しい瞳で私を見つめるのだろう
(何でそんな目でみつめるの?)
聞きたいけど気けない、聞いてしまうとこの関係が崩れてしまいそうで怖い
彼は罪悪感から私の側にいて律儀に彼のなんの特にもならない約束を守っている
きっと元々そういう性格で、私に真摯に誠実に向き合っていると思う、じゃないとあんな告白をわざわざする必要はない
彼はヴァンパイアだ、優しい彼が生きていくために人間を襲うのは人が家畜を殺してその肉を食べるのと同じだ
それに自分を襲うものに対抗するのも火の粉を振り払うのと同じだとわかる、ただ人間のルールとは違うところで生きているだけだ
だけど私は人間で、夫を殺したヴァンパイアと一緒にいる
私が生きる人間のルールではこんなの間違っている
それだけじゃない、あの温泉へ行った日、私は自分から彼を求めてしまった
心の奥に閉じ込めて見ないふりをしていたのに気持ちと身体は勝手に動いて彼に惹かれてしまう
亡くなったあの人に申し訳ないどころじゃない、でもどうすればいいかわからない
(嘘だ…)
本当は分かってる一刻も早く彼とあのヴァンパイアと会わないようにすればいいだけのことだ
やらなければいけないことと気持ちが全く反対で今の状態が苦しくてしょうがなくて私はそこから動けずにいる