バッドテイストーヴァンパイアの誤算ー
(もう訳がわからない)
家庭用の狭くも広くもない浴槽にほぼ体育座りでおさまる
私の両サイドからは白く長い足が伸びていて
正面の壁に足が付いてしまっている
確かに温かいはずの湯船のお湯、
丁寧に浴室暖房までついていて暑いくらいだ
だけど、私の顔はずっと青ざめている
背中にはぴったりと逞しい胸板が密着している
長い腕は足と同様に私のサイドから前に伸びて、
ボディソープをネットでモコモコと泡立てている
後ろの気配は上機嫌で歌いだしそうな雰囲気だ
(こわすぎる…)
「足を伸ばさないのか?」
「大丈夫です、この方が落ち着くので」
そうか、といって
私の手をとりその泡で洗い始める
「!」
(そんな予感はしていたけど…!)
「いいです、自分で洗えますから」
なるべく彼を刺激しないように丁寧に、
でも、彼の懐から一刻も早く逃げ出したくて横の洗い場に水揚げされた魚みたいに這い出る
なんて無様な格好だ
でも、それどころではない
イスによじ登るように座り、ボディソープを手で泡立てて直接洗う
まずは腕、次は足、洗うところ洗うところに沢山の噛み跡、
実は本当に彼はヴァンパイアで昨日のうちに私を食べてしまおうと思っていて、
でも牙がなくて食べられなかっただけじゃないのだろうかとさえ思ってしまう
彼の跡を見つけるたびにどんどん血の気が引いて青ざめていく顔、
そんな私の考えを感じ取ったのか、
「血は吸うが、
取って食おうとは思ってない、
もちろん殺す気もないから安心しろ」
(血は吸うのかいっ!
別の意味でさっきたべようとしてただろ、
信じられるか…!)
私が身体を洗うのをじっと見つめ続ける視線が痛い、何かを考えているようだ
ボディソープが足りなくなったので、またポンプに手をかけようとしたところ
横から彼が無言で先程たてていた泡を差し出す
拒否権はない、私はそれを受け取り首から胸、お腹と洗う
ずっと彼の目線が私の手の動きに合わせて追ってくる
私はぎくしゃくしながら必死で身体にボディソープを塗りつけていく
本当は全身から血が出るくらいゴシゴシ洗いたいけど、それよりも彼の視線から解放されるために急いで洗い流そうとシャワーに手をかける
「まだココが洗えてない…」
ビクッとしてシャワーを落としそうになり慌てて両手でぎゅっと握る
湯船から上半身を少し乗り出すだけで簡単に私の背中に手が届く
先程の泡を私の肩から背中、腰へとスルスルとつけていくその手との接触を最小限にして
距離をとりたくて腰の方に来るときにはイスからすべり降り、のけぞるような姿になっていた
そんな私を彼はなにも言わずに支え、磨くような手つきで泡のついてないヒップまで擦りながら洗う
ヌルヌルと私の身体に這う彼の手に自然と目に涙がたまってくる、
恥ずかしいのか怖いのか何なのかもうわからない、頭がクラクラする
(しょせん、私の小さな抵抗なんて無駄なんだ…
どうせ今の状態じゃ彼から逃げられない)
半ば心が折れかけていたとき、
彼が湯船から出てやっぱり私の後ろにまわる
家庭用の狭くも広くもない浴槽にほぼ体育座りでおさまる
私の両サイドからは白く長い足が伸びていて
正面の壁に足が付いてしまっている
確かに温かいはずの湯船のお湯、
丁寧に浴室暖房までついていて暑いくらいだ
だけど、私の顔はずっと青ざめている
背中にはぴったりと逞しい胸板が密着している
長い腕は足と同様に私のサイドから前に伸びて、
ボディソープをネットでモコモコと泡立てている
後ろの気配は上機嫌で歌いだしそうな雰囲気だ
(こわすぎる…)
「足を伸ばさないのか?」
「大丈夫です、この方が落ち着くので」
そうか、といって
私の手をとりその泡で洗い始める
「!」
(そんな予感はしていたけど…!)
「いいです、自分で洗えますから」
なるべく彼を刺激しないように丁寧に、
でも、彼の懐から一刻も早く逃げ出したくて横の洗い場に水揚げされた魚みたいに這い出る
なんて無様な格好だ
でも、それどころではない
イスによじ登るように座り、ボディソープを手で泡立てて直接洗う
まずは腕、次は足、洗うところ洗うところに沢山の噛み跡、
実は本当に彼はヴァンパイアで昨日のうちに私を食べてしまおうと思っていて、
でも牙がなくて食べられなかっただけじゃないのだろうかとさえ思ってしまう
彼の跡を見つけるたびにどんどん血の気が引いて青ざめていく顔、
そんな私の考えを感じ取ったのか、
「血は吸うが、
取って食おうとは思ってない、
もちろん殺す気もないから安心しろ」
(血は吸うのかいっ!
別の意味でさっきたべようとしてただろ、
信じられるか…!)
私が身体を洗うのをじっと見つめ続ける視線が痛い、何かを考えているようだ
ボディソープが足りなくなったので、またポンプに手をかけようとしたところ
横から彼が無言で先程たてていた泡を差し出す
拒否権はない、私はそれを受け取り首から胸、お腹と洗う
ずっと彼の目線が私の手の動きに合わせて追ってくる
私はぎくしゃくしながら必死で身体にボディソープを塗りつけていく
本当は全身から血が出るくらいゴシゴシ洗いたいけど、それよりも彼の視線から解放されるために急いで洗い流そうとシャワーに手をかける
「まだココが洗えてない…」
ビクッとしてシャワーを落としそうになり慌てて両手でぎゅっと握る
湯船から上半身を少し乗り出すだけで簡単に私の背中に手が届く
先程の泡を私の肩から背中、腰へとスルスルとつけていくその手との接触を最小限にして
距離をとりたくて腰の方に来るときにはイスからすべり降り、のけぞるような姿になっていた
そんな私を彼はなにも言わずに支え、磨くような手つきで泡のついてないヒップまで擦りながら洗う
ヌルヌルと私の身体に這う彼の手に自然と目に涙がたまってくる、
恥ずかしいのか怖いのか何なのかもうわからない、頭がクラクラする
(しょせん、私の小さな抵抗なんて無駄なんだ…
どうせ今の状態じゃ彼から逃げられない)
半ば心が折れかけていたとき、
彼が湯船から出てやっぱり私の後ろにまわる